認知症による資産凍結を防ぐ家族信託【第2弾】
― “気づいたときには遅い”を防ぐための具体対策 ―
はじめに:預金が1円も動かせなくなる現実
「親の預金があるのに引き出せない」。このような相談は、近年確実に増えています。
例えば、次のようなケースです。
- 80代の父が認知症と診断
- 預金は2,000万円
- しかし銀行が取引を制限
- 介護施設の入居費を子が立て替えることに
このように、“資産はあるのに使えない”という状況は、特別な例ではなく、誰にでも起こり得る問題です。
なぜ認知症で資産が凍結されるのか
認知症になると、法律行為に必要な「判断能力」が低下します。その結果、金融機関や不動産会社は契約の有効性に疑義がある場合、取引に慎重にならざるを得ません。
そのため、次のような事態が起こります。
- 預金の引き出しが制限される
- 定期預金の解約ができない
- 不動産の売却・賃貸ができない
- 生前贈与や遺言ができない
つまり、実質的な資産凍結が発生します。
成年後見制度では解決できないのか?
対策としてよく挙げられるのが「成年後見制度」です。しかし、実務では次のような制約があります。
- 後見人は家庭裁判所が選任(家族とは限らない)
- 財産の使い道は「本人の生活・療養」に限定
- 不動産売却には裁判所の許可が必要
- 毎月の後見人報酬が発生
つまり、成年後見制度は“財産を守る制度”であって、“柔軟に使う制度ではない”という点が重要です。
家族信託という選択肢
そこで有効なのが「家族信託(民事信託)」です。これは、元気なうちに家族へ財産管理を託す仕組みです。
家族信託でできること
- 預金の管理(生活費・医療費・介護費の支払い)
- 不動産の売却・賃貸
- 収益物件の運用
- 二次相続まで見据えた承継設計
最大の特徴は、認知症発症後も家族が継続して財産を動かせるという点です。
【比較】認知症後の資産の動き
■ 家族信託をしていない場合
- 判断能力低下
- 銀行・不動産会社が慎重対応
- 預金・不動産が動かせない
- 成年後見へ移行(制約あり)
👉 自由度が大きく制限される
■ 家族信託をしている場合
- 元気なうちに契約
- 子などが受託者として管理
- 認知症発症後も継続管理
- 売却・賃貸・支払いが可能
👉 資産が“止まらない”
ただし、家族信託にも確認注意点がある
- 初期費用がかかる
- 設計ミスがあると機能しない
- 受託者に大きな責任がある
- 金融機関対応に知識が必要
👉 つまり「設計がすべて」です。
よくある失敗パターン
- とりあえず契約したが使えない
- 信託口座が開設できない
- 不動産の処分条件が曖昧
- 家族間でトラブルが発生
👉 ネット情報だけで組むのは危険です。
制度選択のポイント
家族信託だけでなく、状況に応じて次の制度と組み合わせることが重要です。
- 遺言
- 任意後見
- 生命保険
👉 単体ではなく“設計”で考えるべき分野です。
まとめ:準備は“今”しかできない
認知症は発症時期を予測できません。しかし、資産凍結は事前に防ぐことが可能です。
家族信託は「問題が起きてから」ではなく、“問題が起きる前にしか使えない制度”です。
無料相談のご案内
家族信託は、ご家庭の状況によって最適な形が大きく異なります。
- 本当に家族信託が必要か
- 後見制度の方が適しているか
- どの資産を対象にするべきか
当事務所では、初回相談にて制度の適否と設計の方向性をご案内しています。お気軽にご相談ください。

